「自分の信念を貫き、 人を活かし、組織を活かす仕事人 」 斎藤拓さん
今回は東京証券取引所上場、売り上げ326億円(2021年12月期公式HPより)社員数は1600名を超える、株式会社リンクアンドモチベーション(以下、リンクアンドモチベーション)を勤められた、斎藤拓さんに取材させていただきました。斎藤拓さんはそこで全社MVPを2回受賞されており、どうすれば、そうなれるのかを生々しく伺って参ります。
斎藤拓(さいとう・たく)さん
2011年、株式会社リンクアンドモチベーションに新卒入社。入社して以来、一貫して東海・関西地区の中小・ベンチャー企業向け組織人事コンサルティングを担当。 主に小売り・サービス系企業の世代継承をテーマとする組織強化に向けた組織診断ツール、モチベーションクラウドをベースに、人材育成、人材採用、理念浸透、人事制度のトータルコンサルティングを提供。多くの企業の組織改革を成功に導く。 2017年には、全社のなかで最も大きな成果を出したメンバーに送られる社内MVPを受賞。2018年から同社の九州拠点立ち上げリーダーをつとめる。
表彰は求めるのでなく、結果としてついてくる
拓さんはリンクアンドモチベーションで全社MVPを2回受賞されて、僕は凄いなと思っているのですが、ズバリ!何を大切にしてきたから、2回も取れたのかをお聞きしてもいいでしょうか。
ありがとうございます。
たしかに、リンクアンドモチベーション1600人いる中で、全社MVPを2回取る人は少ない方の部類だとは思っています。
けれども、僕は真面目に賞を取りたいと思ったことは一度もありません。
ええ、そうなんですか!
正確にいうと、僕も賞とか評価を気にしていた時期もありましたが、その期間は全くと言っていいほどに結果が出ませんでした。
そうではなくて、自分の純粋な成長や周囲への貢献をやろうと思った2つのきっかけから、協力者やファンが増え、最終的にそのような評価をしてもらったと思います。
拓さんが仰る内容は頭では分かるのですが、とは言いつつも仕事をしていると評価や数字を意識せざる負えないなと僕は感じています。
拓さんはそのジレンマはどのようにしましたか?
実は僕にとってはそんなに難しくありませんでした。
その2つのきっかけの1つ目が僕の実家が酪農の経営をしている為に、いずれ会社をどこかで辞めようと思った時です。
もし、退職すると考えた時に、他人からの見られ方とか評価はマジでどうでもいいなと、それよりもいかに自分の実力をつけるか、社内外のファンを増やし、お客様への貢献をするかだな思い、とバチンと切り替わったこと。
2つ目が僕が人生のバイブルにしている『嫌われる勇気』の著者の岸見先生の自宅に勉強に行き、人の評価、承認ばかりを気にしていると一生幸せになれませんよと言われた話にもピンときて、幸せになりたいから、じゃあ、捨てていこうと思った流れですね。
結果として、評価や表彰がついてきたということでしょうか。
そうですね、ただ、自分が今、全社MVPを取れるくらいの仕事をしているか、本気を出しているか、自問自答する基準感としては表彰がある点は良いなと感じています。
ただ、評価や賞を目的や最終目標にすると、全く意味がありません。
僕もMVPを2回も取ると優秀な人のように思われがちですが、最初から仕事が出来たのかとか能力が高かったのかと言われると全然そんなことなく、むしろ、管理職手前までは同期の中で昇格が一番遅く、落ちこぼれで苦労をした時期もありました。
それだけ2つのきっかけから貢献への意識が切り替わったときに大きな変化があったのではないかと思います。
拓さんが貢献への意識が切り替わって、手と足を動かす原動力となったのは何ですか?
強みに気づき、活かした方が上手くいく
それは僕自身が人生テーマが有名なカーネギーの『人を動かす』から『人を活かす』と決めており、1人ひとりが活きるチーム、活きる会社経営をサポートしたく、リンクアンドモチベーションに入社をしました。
ポテンシャルが高い人であっても組織の文化やマネジメントや仕組み次第では、その能力が全く活かされず、イキイキしていない感じを見ると悔しく、そういう人を自分が関わることで、成果を出して、再生をさせていくことにやりがいを感じています。
社内では「斎藤再生工場」とも言われましたが、嬉しい比喩ですね。
斎藤再生工場。笑。
実際に何をしてその人を再生をさせていくのですか?
僕は人の良いところや強みを見つける力が得意だと思っています。
人は自分の弱点や課題点ばかりに目がいきがちであると思っていますが、逆張りに見るとその人の良いところが隠れていて、そこを僕が見つけて、本人と話してながら、気づいて貰い、認識をさせていくことです。
拓さんが人の強みや輝けるポイントを見つける力が得意だと認識したのは、何かきっかけがあったのですか?
そうですね、それは僕が新人の頃、とにかく鈍臭くて、周りから融通が利かないとか話を聞かないとか弱点や課題点ばかりを沢山言われ、 僕自身も改善をしようとするものの、伸びなくて、自信を失って落ち込んでました。
そのときにある1人の先輩が「まぁ、拓はいろいろあるけど、こういう良いところもあるから」と言って貰った言葉にエネルギーを貰って、今まで続けてこれたので、人は自分の強みを気づいた方が上手くいくなと思った実体験からです。
拓さん自身のご経験からなんですね。
はい、僕が「人を活かす」をテーマにしているのは、「人を育てる」だけでは変わり切れないと思っているからです。
教育、研修の重要さも分かりますが、人の強みを見つけて活かし、適材適所で社内での部署移動、場合によっては転職をする方がより輝けるのではないでしょうか。
僕もそう思います。
拓さんのような自分の強みを見つけて、気づかさせてくれる人に出会えたら、ラッキーだと思いますが、出会えずに、悩んでいる方もいると思います。
そういう人はどうしたら自分の強みを見出し、気付きやすくなるか何かヒントはありますか?
一番はやっぱり親とか学生の友人とか周囲の人に聞くのが早いと思います。
マクドナルドがいくら健康に良い商品を売っていると言っても、周囲の人はそうではなくて、早さと安さだと言うはずです。
僕自身も自分を悲観的な人間だと思っていましたが、親に拓はかなり楽観的だからと言われて、その時は分からなかったですが、今思うと確かに人の良いところ、強みを見つけやすいところに繋がっていたなと思います。
拓さんの仰る話は分かりますが、例えば、周囲の人に聞いて、あなたは素直なところ、誠実なところが強みだと言われてもそれが仕事になるかと悩み、止まる人もいると思います。
そこはいかがでしょうか?
そう言われると、強みには①強みを認識する②強みを活用する2ステップあるなと思います。
そういう意味で、②は上司側、マネジメント側、経営側の役割が大きいですね。
でも、何かしら日常の仕事に活かせると思って色々考えてみる姿勢は大事だと思います。
僕がマネージャーの時の部下で同じ営業でもロジカルシンキングが得意な人と人間関係構築力が得意な人がそれぞれいました。
前者はお客様の課題設定や提案前の分析や準備に、後者は初回アポイントでお客様の要望聞き、仲良くなる、共感の接点を探る部分に命を懸けろと伝え、それぞれの営業スタイルで成果を出した事例もあります。
確かに言われると嬉しいですし、変に型に当てはめなくて良いと思えて、心が軽くなります!
ただ、これをやりすぎると自分を決めすぎてしまうので、可能性を狭めないためにも、同時に課題点のレベルアップも大事ですね。
自分で自分自身を認め、受け入れ、承認する
一番最初の結果や評価を求めず、承認欲求を捨てよのお話で、そうは言っても、誰もが承認欲求はあるなと感じていて、恐らくそこの差が拓さんの表彰の差に繋がるとは思います。
拓さんはそこをどのようにして突き抜けられましたか?
もう1つあるとするならば、承認欲求を自分で満たすことが大切なのかもしれません。
例えば、僕は自分で出来たことや強みを認めて、弱みを受け入れて、すぐ5番目6番目にいけるようにしておく、一行日記という習慣を毎日やっています。
一行日記とは何ですか?
その日あった良かったことや出来たことを一行ずつ書き、ずっと貯めていく習慣です。
うちの会社の代表もやっていて、僕とかもマネージャーになると、周囲からなかなかフィードバックが貰えないので、若いの頃から今日出来たことや上手くいったことを書いていき、今では自信に繋がっています。
日本人が承認欲求が強いとか周囲を気にし過ぎてしまうといった話は多分、日本人が世界で一番自尊心が低いところと関係しているのではないでしょうか。
もっと自分のことを認めて、アドラー心理学でいう受け入れてあげると4番目の承認欲求が解消されて、次の自己実現と貢献の欲求にいけると思っています。
そうですね、SNSで周囲と比べることもあるなと思っています。
僕は他者と比べる自体は別に良いと思いますが、you are OK ,I’m not OKであることが僻みとか妬みになると思っています。
そうではなく、you are OK ,I’m OKになると、劣等感に繋がらずに、お互いを尊重しあえるはずです。
僕の感覚としては、ほとんどの人がこうなりたい、貢献したいという5番目、6番目の欲求は持っているなと感じています。
ただ、そこに素直になれずに、「いや、でも現実はこうだから」と蓋をして、他者からの評価や見られ方を気にして右往左往している感じです。
自分の本音や本気、本心に嘘をついて、5番目と6番目に踏み切れていないのではないでしょうか。
自分の内なる声を信じる、自分の気持ちに正直に生きることが何よりも大事だと思います。
拓さん、本日はありがとうございました!
斎藤拓さんについて
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