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「呼吸は自分への優しさとワクワクを感じる訓練になる!?」マインドフルリーダーシップインスティテュート 理事 木蔵シャフェ君子さん

「マインドフルネス」という言葉をご存知でしょうか。マインドフルネスとは、「今この瞬間」に起こっている身体の内外の経験に集中している心理状態、または、その状態に向かうプロセスのことを指す概念と言われています。今回はそれを伝え続けているマインドフルリーダーシップインスティテュート理事の木蔵シャフェ君子さんに伺わせて頂きました。私たちが当たり前に行っている呼吸が自分や他者に優しくなること、ワクワク、感動に繋がるとは一体どういうことか、学生へのメッセージも含めて聴かせて頂きます。

木蔵シャフェ君子(ぼくら・きみこ)さん

ICU卒、ボストン大学MBAを取得後、P&G、LVHMなど外資系大手企業の有名ブランドにてブランドマネジメントを行い、香水、石鹸、スキンケアなどで高いマーケットシェアを獲得する。2000年より渡米・独立し、コミュニケーションとリーダーシップについての講師・コーチとして、各国で講演活動を行い、医療コミュニケーション研修会社を経営。2013年、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)創立。日本人初のSIY認定講師の一人として、日英バイリンガルで世界各国で活躍。グローバルな人脈と最新の情報を日本に橋渡しする。

呼吸の違いを意識することが感じる練習になる

  • 木蔵さん、僕が考えているテーマで「ワクワクする」「感動する」といった“感じること”が難しいなと思っています。

    木蔵さんはどう思いますか

  • そうですね。

    個人的には感動しやすく、ワクワク体質なのですが、コロナ禍で特にそういう状態の人は多いのではないかなと想像がつきます。

    感激とか感動は新しい一面に触れたり、同じ事象でもより深い気づきや違う観点を得たりすることではないでしょうか。

    多くの人は周りから非難や批判されない為の行動、言動を考え、自分に制限をかけていると思っていて、その小さな箱の中にずっと収まっていると、なかなかそのきっかけが得られないですよね。

  • はい、今この瞬間を大切に生きるマインドフルネスと繋がりがあると思っていますが、いかがでしょうか。

  • とても深い繋がりがあると思います。

    マインドフルネスの基本の瞑想は呼吸の1回1回を初めて経験したかのよう感じてみるものです。

    呼吸なんて、今まで何万回もやっている当たり前のことで、注意を向けるに値しないよと思えば、簡単に思えるのですが、朝起きて、寝起きの状態でどんな呼吸が生まれるのかを面白がれる人は他のどんなことも面白がれるのはないでしょうか。

  • 確かにです。言葉は同じ呼吸でも違いますよね。

  • はい、朝の呼吸と寝る前の呼吸でも全然違いますし、座り方や姿勢1つでも大きく変わってきます。

  • 息を吸って入っての呼吸は意識が出来るとは思いますが、その呼吸の違いにまで目を向けるのは難しくないですか?

  • それが“感じること”なのかなと思っています。

    呼吸について、こんなものだという認識を外した上で「今は寝起きだから呼吸が浅いな」とか「この姿勢だと呼吸が通っている感覚があるぞ」と気づくことが感じる練習も同時にしているのではないでしょうか。

  • 今までの僕は雑念が湧いたら、呼吸に意識を戻すことは大切にしていました。

    けれども、そこからもう一歩踏み込んで、どんな呼吸をしているのか?昨日の呼吸と何が違うのか?とまではあまり意識してこなかったかもしれないです。

  • 刺激があまりない状態でありふれた呼吸に注意を向けてみたら、それが当たり前のことでなく、1つ1つが違うことに気づき、そういう意味では呼吸は感じることの良い訓練になると思います。

呼吸は注意と優しさのトレーニング

  • 話は逸れるかもしれませんが、僕は最近「瞑想は行うものでなく、起こるものである。」という言葉に出会いました。

    自ら瞑想をしようとするのではなく何か美しい風景を見た際、言葉として出てくる前に湧き上がるものが瞑想だという意味です。

    確かにと思いながら、木蔵さんはどう思われていますか?

  • 両方あるのではないでしょうか。

    心のトレーニングなので、自分の呼吸に注意を向け、感情や感覚に気づいていこうとする能動的な姿勢があって、凄く集中した状態に湧いてくるふとした気づきがあると思ってます。

    そして、そのふとした気づきは能動的な姿勢だけでは手に入らないものであるはずです。

  • 最初から気づいてやろうと狙わずに、リラックスしよう、呼吸に注意を向けようとしているとある瞬間に降りてくるのですね。

  • はい。あとは、何か苦しみを乗り越える為に瞑想をしようとする方も多くいらっしゃるのですが、乗り越えようと執着をすればするほどに、どんどん遠のいていくのと似ているかもしれないです。

    その執着を手放して、呼吸に集中しているうちにストレスの感覚がなくなっていきます。

    パラドックスで、手に入れようと思い、追っかけても手に入らなくて、逆にありのままの自分を取り戻したら、既に手に入っていることがあります。

  • それは頭では理解できるのですが、一方でありのままでいようと思えば思うほど、手に入れようと意識しませんか?

  • そうですね、私も特に初めの頃は心を落ち着けようとして、落ち着かない雑念ばかりが気になっていました。

    ただ、その心の状態「集中出来ていない」「呼吸に注意が向けられていない」「焦っているな」「気持ちが落ち着かない」状態に気付けたことが振り返ると第1歩だったなと感じています。

    安部さんの仰る通り、最初から手放すことは難しいのですが、まずは、焦っている、結果に執着している自分に気付くことから始めて欲しいですね。

  • 確かに、普段だと自分の状態になかなか気づけないから大きな前進ですよね。

  • はい、その自分の状態に気づいて、そこから気づきの矛先を呼吸に持っていけるかなと試してみます。

    最初の頃は注意が逸れて自分を責めがちですが、そのダメ出ししている自分に気づいて、子犬においでおいでと呼ぶようにして、またそっちにいったのね、こっちこっちと呼吸に戻すイメージです。

    そういう意味では注意を気づいて戻す注意力のトレーニングであると同時に、自分に対する優しさのトレーニングであると思っています。

  • 呼吸が優しさのトレーニングになるという視点はなかったかもしれないです。

  • 私自身がマインドフルネスを学んだり、お伝えさせて頂いたりする中で、本人は気づかないまま人に対して厳しく当たり過ぎて、疲弊して燃え尽きてしまった人を沢山見てきました。

    優しさとは甘やかすわけでなく、自分自身が健全に成長するために、周りに安心した貰うためのものであるために、自分への優しさがすごく大切だと感じております。

  • 自分に優しくなれると他人にも優しくなれますもんね。

    真面目にストイックに努力する人ほど出来なかったときに「なんで、出来ないんだ」と自分のことを責めがちだと思いますが、そこも寛容になれるということですか?

  • そうですね、それが瞑想の時の呼吸を戻すときにとダメ出しすることと繋がっていて、自分を責め追い詰めても心のエネルギーや楽しさがなくなり、あまり良い状態とは言えません。

    そういう意味ではマインドフルネスは一旦、落ち着き冷静に考えられて、自分に対しても他者に対しても、公平な眼差しを取り戻せると感じています。

  • ただ、人生の中でとことん自分を厳しくしてみる時期があってもいいと思います。

    私も頑張り過ぎた時があって、かなり頑張れたのですが、ある時から楽しくなくなり、周りが自分と働くの辛いなと感じて離れてしまうこともありました。

    けれども、私はそのタイミングでマインドフルネスとの出会いが重なり今の自分があります。

    だから、若い人には最初からマインドフルネスやったらいいよと言いたいですけども、自分がいいと思うやり方を突き詰めて欲しいですね。

  • マインドフルネスを伝え続けている木蔵さんから最初からマインドフルネスしなくてもいいよという言葉はなんか押しつける感じがしなくて、純粋に凄いなと感じました。

  • 正解を求めるのでなく、何をしている自分が楽しくかっこいいかを考える

  • 冒頭に話したワクワクや感動が減っている話に戻して、これを植物に喩えると、あなたはラベンダーであり、あなたはバラで一人一人違う種類の花なのに、自分も社会も何か別の花になれとプレッシャーをかけているように感じます。

    ラベンダーの人にバラになってくださいと言っても絶対になれないし、その人は放って置いたらその人らしく試行錯誤して自然と良いラベンダーになります。

    だから、なんか正解じゃないか安全じゃないかの箱の中をいることは、自分の気づきや試行錯誤、ワクワクを停止させる一番危険な状態ではないでしょうか。

  • 確かに誰かから言われたこういう大人になりましょうに当てはめようとしているかもしれないです。

    では、まず自分がタンポポかバラを知ることが大切ということでしょうか?

  • いいえ、それさえしなくて良いんです。

    なぜならば、ラベンダーは自分がラベンダーと分かっていなくても、見事なラベンダーの花を咲かせられるからです。

    最初は必要な水と光とエネルギーがあれば、誰から言われずとも自然とタンポポになれます。

    つまり、学生の方も最初から何者になろうとするよりも自分がこの人と繋がっていると嬉しい、これをすると楽しい、元気が出るといった情報の方が大切です。

  • だからこそ、学生の方もキャリアとしての正解を求めるのではなく、何をしている自分が楽しそうか、カッコ良さそうかを考えることから大切にして欲しいですね。

編集後記
木蔵さんと話して、僕自身がワクワクや感動があまり分からなかったり、朝起きれない自分にもすごく責めてしまうので、呼吸の大切さを深く感じました。マインドフルネスも筋トレと同じように鍛えれば鍛えるほど、精度が高まっていくそうなので、日々の中で少しずつでも実践をしていきます。木蔵さん、改めまして、今回はありがとうございました。

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュートについて
ホームページ:https://mindful-leadership.jp/
木蔵シャフェ 君子さんのFacebook:https://www.facebook.com/bokura.kimiko

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